今週も、あっという間に過ぎていきました。今週は、先週のニュースレターを配信した日に次男が怪我をして救急に行き、7針縫うことになってしまいました。学校の授業で行った公園で怪我をし、出血がひどかったので先生が救急車を呼んだらしいのですがコロナによる慢性的な人手不足のため、救急車が来るのにも時間がかかると言われたらしいです。幸い、息子の継母(ステップマザー)が近くにいたので彼女が車で駆けつけ、病院まで連れて行ってくれました。私は離婚しているので緊急時は私か前夫に連絡がいくのですが、今回はうまく連携ができてよかったです。傷は骨まで届くほどの深い切り傷で、縫うことになりましたが、本人は結構平気な様子でした。ただコロナ禍に救急に行くことでの感染の危険の方が心配でした。診断してもらうまで2時間ほど待たされましたが縫っただけで帰宅し、学校は数日おやすみしました。
私はコンサルをやったり通訳・翻訳したり、留学生のお世話をしたりと仕事が多岐に渡るのですが、ソーシャルメディアのコンサルもやっています。今週は日系カナダ人アーティストのグループにソーシャルメディアのワークショップをやりました。SNSというのは私は性格的に向いているのだと思ってやっていますが、やりたくない人が「みんながやってるから」とSNSのプラットフォームを始めるのは結局続かないことが多い、といった話もしました。
今週は、「コブラ会」というNetflixでやっている「カラテ・キッド(邦題はベスト・キッド)」のスピンオフドラマで出てくる日本語がめちゃくちゃだということを指摘したTikTokがTwitterで少しバズり、たくさんの方から、日本が変に描写されているTVや映画を教えてもらいました。あまりにたくさん反応があったので、全部読むのに数日かかりました。今週のポッドキャストでも話していますが、日本に関わらず、外国の文化を間違っていたり、ひどい時には差別的に表現している過去の映画やTVは山ほどあります。日本に限って言えば「ティファニーで朝食を」や「蝶々夫人」など。これらはかなり昔の作品で、今だったら絶対にアウトですが、最近の作品で名前が出たのは「デアデビル」「SING」「カーズ」「ファルコン&ウィンターソルジャー」「Chuck」など。結構ディズニー系が多かったのが意外でした。
これらをどこまでがジョークで、どこからがCultural Misrepresentationとするかの線引きが人によって違うので、みなさんのコメントを見て難しいなと感じました。エンターテインメント業界でなく、レストランに例えると、例えばアメリカの田舎にある、Authenticを謳っていないジャパニーズレストランのスシや、スーパーでパック売りになって売られているスシに本気で怒る人は少ないと思います。「これはこういうものだから」と、日本の本当の寿司を期待していないからだと思います。逆に、「時々こういうアメリカンなスシが食べたくなる」という在外邦人もいると思います。中には「本物じゃないのでアメリカ/カナダ/その他外国では寿司は食べない」という日本人もいるでしょう。エンタメ業界での日本のリプリゼンテーションも同じようなものかもしれません。「日本人の役に中国人や他のアジア人を起用するのはけしからん」という意見もあれば「本当の日本がTVに出てくることはまずないので諦めてます」という声もありました。
現在この件はCBCの記者さんが声を上げてくださった方数名に取材をしてくれています。カナダもしくはアメリカ在住の方で(できればBC州在住の方を優先します)、日本が変に取り上げられている番組についてコメントしたいという方がいらっしゃったらご連絡ください。
海外のレストランやスーパーで本当の寿司もしくは日本料理が売られていなくても、それは私たちの日々の生活にそれほど直接影響するものではないかと思います。しかし、メディアにでてくる日本その他の文化は、見ている人に「日本とはこういうものだ」というイメージを受け付けます。だから、差別的だと感じたり、馬鹿にされていると感じる表現があったり、よくないイメージを植え付けると感じたら(そのターゲットが日本でなくても)、私たちは声をあげるべきと私は思います。日本人女性として、何度も「日本人女性って男性に尽くすんでしょ」というステレオタイプを聞かされてうんざりしてきた経験があります。それこそまさにこれまでのメディアが原因だと思っています。
また、前回の「ゲイシャ」レストランのケースでもそうでしたが、こういった話をすると「日本だって差別ひどいじゃん」とか「日本の英語も変なのばっかりだよ」というコメントが来るのですが、これは典型的なWhataboutismで、今はその話はしていません。日本にも変な英語はたくさんあるし、外国人・外国の文化を面白おかしく描写しているTVや映画、アニメもたくさんあります。それを否定しているわけではありません。そういったトピックが問題と感じる方は、自分で声を上げるべきだと思いますし、私はそんな運動があればサポートします。日本国内の変な英語に関しては、「日本の英語を考える会」がすでに色々活動をされていますし、ポッドキャストでも以前取り上げました。
今週のポッドキャスト内でも紹介した、ハリウッドで活躍されている俳優の松崎悠希さんのこのツイートに激しく膝を打ちました。
Lazyという言葉がまさにぴったりで「誰も文句言わないからこんな程度でいいでしょ」という態度に声をあげ続けていかないと、何も変わらないと私は信じています。
今週は、ブッククラブでバウンダリーの話になりました。バウンダリーについては、ポッドキャストでも取り上げ、ブログにも書いていますが、「NOと言うのが苦手な日本人に、NO以外にどう伝えればいいのかわからない」という質問がありました。もしこれを読んでいる方で、具体的なバウンダリーの引き方、こういってバウンダリーをぴしっと引いたよ、という例がある方はぜひ教えてください。近いうちにまたポッドキャストのトピックにしたいなと思っています。
毎週木曜日にClubhouseでやっている「読み解く英語Next Level English」のお部屋は今週までMid-winter breakということでおやすみします。
今週読んだ本
引き続き、ブッククラブの本を読みながら、Ivan Coyoteの”Care Of”を毎日読んでいます。
今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」は短いので昨日読み出して今日読了しました。
今週聴いたポッドキャスト
今週は、”Serial”という数年前に大ヒットしたポッドキャストのチームが制作した”The Trojan Horse Affair”という8回のポッドキャストを一気に聴きました。この番組のクリエイターのBrian Reedはこれも数年前に”S Town”というヒットポッドキャストを作った人です。(S TownもSerialもどちらもすごく面白いのでまだ聴いていない方はぜひ)この新しい番組では、イギリスのバーミンガムにて、「ムスリムの教育者たちが子供たちを過激主義に導く秘密のプロジェクトを遂行している」とする匿名の手紙が市議会議員に送られたことから始まります。バーミンガムの新米ジャーナリストのHamza SayedがBrianにこの事件のことを話し、二人は独自の捜査を開始。この手紙は誰が、どんな理由で書いたのか?そもそもこの手紙に書かれていることは本当なのか?
“S Town”や”Serial”のように、1話ずつ進展していくストーリーで、聴いていくうちに引き込まれます。
ネタバレはしませんが、最後まで聴いて思ったのは、We can’t teach people to careということ。世の中の人たちに、マイノリティのことを真剣に考えてほしいとどんなに嘆願しても、強制することはできません。先に書いたコブラ会や日本文化の正しいリプリゼンテーションについても、全く同じように感じ、なんだか無力感を感じてしまいました。他人、とくにマイノリティや社会の隅にいる人たちのことを考えてもらうようにするのはどうすればいいか、というのは本当に一生の課題だなという気がします。
今週観たTV・映画
今週は、ビクトリア映画祭が開催されていて、私はまだ映画館には行く準備はできていないのですが、オンラインで観れる日本の映画をいくつか購入しました。
そのうちのひとつが「AGANAI 地下鉄サリン事件と私」
地下鉄サリン事件の被害者が、現在も活動を続けるオウム真理教(現Aleph)の広報部長と対話の旅に出る、というものです。
とにかく気分が滅入りました。観ていて哀しくなってしまった。観るべき映画だとは思いますが。
また、今更ながらようやく”Dune”を観ました。ちょうど今日アカデミー賞のノミネート作品が発表されましたが、”Dune”も入っていましたね。「ドライブ・マイ・カー」も入っていて嬉しかったです。作品賞は、私は「ドライブ・マイ・カー」か、少し前に紹介した ”The Power of the Dog”になると思っています。いずれにせよ楽しみです。
それでは今週はここまで。Have a great day!