いろいろバタバタしていてすっかり配信が遅れているうちに12月になってしまいました。
先週末、日本時間の月曜日にはブッククラブ仲間でコーチングのクライアントさんでもあるいずみさんが、かねてからやりたいとされていた国際化に関するオンラインイベントに参加しました。海外で勉強した経験があり、今は日本で研究をされているいずみさんですが、日本の大学でも海外からの研究者のみなさんは沢山いるのに外国人の研究者さんとうまく交流できていないことにモヤモヤされていました。私はアカデミアの人間ではありませんが、お話を伺うと、アカデミアはかなりマッチョな世界で、有害な男性性や家父長制がまだまだ残る場所のようです。日頃から、ブレネーブラウンの話や、ヴァルネラビリティを認めて、助けを求めることなどの話をブッククラブでしてきていましたが、大学ではなかなかそういう話ができる雰囲気ではないのだ、と伺っていましたので、今回彼女が同じような問題意識を持っているお仲間と一緒に国際化や多様性について話す機会を設けられたこと、素晴らしいなと思いました。3回に分けてランチの時間に開催されましたが、その3回目には、はみライにも以前ゲストで来て頂いたオーリリチャさんがスピーカーで来て下さり、久しぶりにリチャさんともお話ができて嬉しかったです。
今週の「読み説く英語」のお部屋では、中国のテニス選手Peng Shuaiさんが消息不明になっている件についての英語ニュースを読み説きましたが、中立を保つ団体だとするIOCのバッハ会長がPengさんとビデオ通話をしたという中途半端で中国の肩を持つような介入の仕方に非常に憤りを感じました。Pengさんは今も安否が気遣われる状態です。お部屋のリプレイはこちらから聴けます。紹介したニュースはこちらから見れます。
そして今週個人的に一番時間を取られたのは、モントリオールのYukiさんが教えて下さった、ゲイシャという名前のバー/レストランがオープンするというニュースでした。InstagramとFacebookにて、ネットから拾ってきたであろう花魁風もしくは中華系の美女の写真を使用して、あたかもそういった風貌の女性が働くレストランであるかのような宣伝に、まず①著作権侵害、そして②「芸者」の正しいリプリゼンテーションがされていないこと、そして③アジア人女性への差別の助長(Yellow fever)を感じ、当該レストランのインスタとFBのアカウントにコメントしましたが無視され、インスタグラムの方はコメントした本人にしかコメントが見れないRestrict機能を使って無視されたため、YukiさんとTwitterでみなさんからの協力を請いました。CBCを初めとするメディアが興味を持ってくれ、Yukiさんは一部のメディアのインタビューを受けられましたが、TwitterでインフルエンサーのNick Choさんが拡散してくださったことと、英語圏での多くの怒りのコメントがようやく届いたのか、著作権を侵害しているような女性モデルを使った写真はすべて当該アカウントから削除されました。と言うわけで、とりあえずいったん署名活動はしないでおきますが、引き続きこのレストランの様子は監視する必要性を感じています。拡散にご協力下さったみなさま、ありがとうございました。
この件で、英語圏の人達からは、ひどいCultural Appropriationだ、とお怒りの声を頂きましたが、日本からは相変わらず「そんなキツい言葉で言っても届きませんよ(トーンポリシング)」や「日本だって酷い文化の盗用してますよ(Whataboutism)」のコメントが届き、意識の差にがっくりしました。あと、「こんなの良くあることですよ」というコメントも。良くあることだったら、なおさら改善していくべきではないでしょうか?
日本にもひどい文化の盗用例はいっぱいあります。それを放置しておいて良いとも言っていません。そして、この違いが分かっていない方が多いようなのですが、じゃあ世界中のジャパニーズレストランどうなんだ?という問題。
世界中には「なんちゃって日本風」のレストランは何万もあるでしょう。日本だけでなく、コリアンやインディアンのレストランも。必ず本場そのものの味を提供しないとダメという法律はどこにもありません。そういった「なんちゃって」とか「〜風」のレストランやバーと、今回の「ゲイシャ」のケースの違いは、ゲイシャというのはアジア人女性に対するネガティブなステレオタイプを助長するものということです。
以前にもどこかに書いたと思いますが、カナダに住んで23年の間に、自己紹介をした直後に「I love Japanese women」と言われたことは何度もありますし、「日本の女性って男性に仕えるんでしょ」と勘違いなことを言われたこともあります。Japanese women are beautifulと言われたこともありますし、こういうことを言うと「褒められてるからいいじゃん」と言われますが、そういう問題ではないんです。日本人・アジア人の女性はセクシーで男性に尽くすというネガティブなステレオタイプのおかげで、最低でもセクハラ発言、モノのように扱われ、最悪の場合は暴行を受けたり、殺されるアジア人女性がいるのです。このレストランは、まさにそういった「ゲイシャ」というイメージを売りにしているものでした。
もし誰かが、日本で何十年か過ごしてきて、日本の芸者文化をしっかり理解した上で、あの雰囲気、教養を備えた本物の芸者さん・芸妓さんを備えたエンタテイメントの場を海外に作るということなら、私は反対しません(それがビジネスとして成功するかは別問題ですが。。。)でも今回の例はあまりにも適当なことが丸見えでしたね。再度、ご協力頂いたみなさん、ありがとうございました。
今週は、ブログで「世間の人達はベストを尽くしているのか?」について書き、ポッドキャストでも話しました。「他人に対して最も寛容な推測をすること」は、私がブレネー・ブラウンから学んだことのトップ3に入ります。お時間のある方はぜひ読んで・聴いて見て下さい。
そして、いよいよ昨日ブレネーの新刊、Atlas of the Heartが発売になりました。これまでの本とは違い、コーヒーテーブルブックになるほど美しい、カラーの本です。明日はオンラインのブックローンチイベントもあるので楽しみにしています。
Atlas of the Heartのブッククラブはもうそろそろ定員です。今週中にFacebookグループを作成しますので参加者の方にはメールを送らせて頂きます。
今週読んだ本
引き続き、「ぼくにはこれしかなかった」を読んでいますが、とても面白いです。あと電子書籍でも数冊読んでいます。また英語ではIvan CoyoteのCare Ofを引き続き読んでは涙しています。そしてもちろんAtlas of the Heartも読み始めました。
今週聴いたポッドキャスト
これは厳密には今週聴いたエピソードではないのですが聴いてとても印象に残っているのが、Hidden BrainのRadically Normalというエピソード。
世間の「普通」というものがいかに簡単にFlipしてしまうかというエピソード。先日、コテンラジオの「性の歴史」シリーズを聞いた時にもツイートしたのですが、同性愛は昔は「普通」だったと。そして一時期タブーになり、最近はまた普通化されつつありますよね。このHidden Brainのエピソードでは、同性愛がこの数十年で急速にタブーでなくなったことに関して、それでは他の差別はどうなのかに焦点をあてています。1988年のアメリカのある調査では、同性婚に賛成としたのはたったの11.6%でした。これは、この手の調査ではまずあり得ないくらい低い数字なのだそう。しかし、2018年の調査では、同性婚に賛成とした人は68%にも上ったそうで、これは驚異的な率での変化だと言えるでしょう。ある研究者はこの率で、同性愛に対するバイアスがなくなるまで何年かかるかを調べたところ(あくまで変化のレートを元にした計算で、予測ではありませんが)あと9年で同性愛に対する偏見はなくなり、ニュートラルになるのだとか。しかし対照的に、白人と黒人の間の溝がなくなるまでを同じような計算をすると、60年かかるのだとか。肌の色の偏り、黒い肌よりも明るい肌を好む傾向などは、現在の傾向が続くとすれば、138年はかかるだろうとのこと。そして、高齢者に対する偏見、エイジズムが中立に達するまでは150年ほどかかるのだそうです。というわけでとても興味深いエピソードでした。ぜひ聴いてみて下さい。
今週観たTV・映画
今週は夜のミーティングが殆どなかったので、ドラマを沢山観ました。
Tiger King
まずTiger King シーズン2。2020年の初め、パンデミックの始まる直前にブームになった、ほんとうにどこからツッコんで良いのか分からないトンデモな人達が登場するTigerKingですが、シーズン2ではJoe Exoticが刑務所に入っているので、本人はTV電話で彼なりのしゃべりをするしか出来ず、番組自体はJoeの周辺の人物を一人一人フィーチャーして行きます。途中で、Joeのライバル、Carol Baskinの行方不明の夫についてもかなり詳しく調べられており、Tiger KingってTrue Crime番組だったの?という感じ。登場人物はみんな怪しげですが、なんといってもこの番組の一番の被害者は動物たちです。最後の方で、すこし救いのありそうなエンディングでほっとしました。
tick, tick…BOOM!
映画、というかミュージカルではこちらも今週リリースされて話題になっているTick, Tick…Boom!を観ました。大ヒットミュージカルRentを書くものの、オープニングリハーサルの夜に35歳で亡くなってしまったジョナサン・ラーソンがRentの前に書いた同名のミュージカルをリン・マニュエル・ミランダが初監督しました。アンドリュー・ガーフィールドがジョナサンを演じました。私はアンドリュー・ガーフィールドは遠藤周作の「沈黙」の映画化Silenceでとても好きになったので(その時のことはここに書いています)推しなのですが、今回もこの映画のプロモーションで奇しくも同じくStephen Colbertの番組で、最近母親を亡くしたというガーフィールドがGriefについて、人生の尊さについてとても良いことを言っていて、泣けます。ミュージカルには詳しくない私でも感動しました。人生は短い。だから好きなことをやっていこうと思えました。
Red Notice
ライアン・レイノルズとザ・ロックことドゥエイン・ジョンソンそしてワンダーウーマンを演じたガル・ガドット主演の泥棒系アクション。あまり考えずに家族で観れる映画でした。ライアン・レイノルズはバンクーバー出身でカナダ人に愛されていますが、今回国民栄誉賞的な賞、Governor General's Awardsを受賞しました。
True Story
コメディアンのケビン・ハートが本人を彷彿させる、人気コメディアンThe Kidを演じる7回シリーズのドラマ。1回30分ちょっとなのでサクサク観れます。有名でお金持ちになっても問題事って減らないのね。。。と思わされました。有名コメディアンがとある事件に巻き込まれ、どんどん泥沼にハマっていく、、というプロットはなんとなく、Netflix番組YOUを想像させましたが、YOUと違ってトンデモまではいかなくとも意外な展開が待っており、良い脚本、プロットにかなり感心させられました。あまり期待せずに観ていたのですが最後には「え、これすごく良い作品じゃん」と感動。本当によく書けています。お勧め!
これ以外にも毎週新エピソードが出るSuccession、Invasion、Shrink Next DoorのApple TV+番組も観ました。どれも面白い!
今週末はみかちこと須藤美香さんとThis Is Usのシーズン5について語る会をClubhouseで12/4土曜日の朝11時からやります。
そしてはみライ忘年会の告知も近々やります。
それではみなさままた来週!