なぜか、いつもに増して長く感じた5月が終わり、6月が始まろうとしています。北米では一般的に終業式、卒業式の季節で、卒業パーティや引っ越しの時期でもあります。我が家も次男がミドルスクールを卒業するのですが、パンデミックのせいで親はほとんど学校に行って先生や他の保護者、子供たちと交流する機会がなかったので、もう卒業?と不思議な感覚です。
5月24日、前回のニュースレターを配信した翌日に、テキサス州の小さな町ユバルデ(マシュー・マコノへーの出身地らしい)のロブ小学校に18歳の男性が侵入して4年生の教室にて19人の生徒と2人の先生を銃殺するという恐ろしい事件が起きました。小学校での銃乱射事件は2012年のサンディ・フック小学校での事件がいまだに忘れられませんが、似たような事件が再発してしまったアメリカの銃社会への怒りがSNSやメディアに溢れています。黒人への暴力に対するさまざまな憤りが、2020年5月のジョージ・フロイドさん殺人事件をきっかけに、ブラック・ライブス・マターという運動に発展し、黒人への対応は良くなった、とは簡単には言えないものの、フロイドさんの死が大きなきっかけになったことは確かです。サンディ・フックが起こった時に「いいかげんにしろ」と思った人は沢山いたはずですが、それでもフロリダ州オークランドのゲイクラブ(2016年)やラスベガス・ストリップ(2017年)、フロリダ州パークランドの高校(2018年)など、アメリカでの銃乱射事件は終わりを見せません。
特に今回のユバルデでの事件では、警察が学校に到着してから犯人を射殺するまで78分かかっていることで市民の怒りを買っています。メンタル的にしんどいので観ないようにしていますが、学校の外で、「何で中に入らないんだ、お前が行かないなら俺が行く」と警察に詰め寄る保護者の動画なども上がっています。犯人がいる教室内から複数の911通報が入っていることも明らかになっており、傷口に塩を塗るかのようです。
アメリカではすでに今年に入って200件以上の銃乱射事件が起きており、それは2022年のこれまでの日数より多い、つまり毎日1件以上どこかで銃乱射事件が起きているという異常な事態です。ロブ小学校でのこの事件が、果たしてBLM運動レベルの銃規制運動を起こすためのカタリストになりうるでしょうか。
今週は、何の罪もない先生と子供たちが射殺されたというショック、そして事件の翌日からは亡くなった子供たちの写真や泣き崩れる遺族の姿、また事件の直後にヒューストンで開催された全米ライフル協会の様子なども報道され、悲しみと怒りが交互にやってくるというメンタル的に非常につらい週となりました。事件が起きた25日にはパソコンの前にいると息がつまりそうで、いつも私が個人的にTempleと呼んでいるビーチでぼーっとしてきました。
あまりにもしんどいのでSNSとニュースを意識して避けるようにしていました。みなさんも、メンタルヘルスに気をつけてください。
先週のアファメーションに続き、スピ系のトピックなので、苦手な方は飛ばしていただいて結構ですが、6月3日まで水星が逆行しています。私は天文学は完全に素人ですが、厳密には水星が本当に逆向きに動いているのではなく、そういうふうに見えるだけなのだそうです。1年に数回ある水星逆行の時期は、コミュニケーションや通信にトラブルが起きたり、パソコンや電子機器が壊れたりすることが多いとのこと。「そんなの厄年とか星占いレベルでしょ」と思っていても、なんかこのところコミュニケーションのトラブルが続くなあ、、、と思う時は大抵水星が逆行している時なので、この数年は気をつけてチェックしています。私は占星術はほとんどわからない&しいたけ占いを毎週読む程度の人間ですが、「なんかおかしいな」と思うとチェックできるIs Mercury in retrograde?のサイトを愛用しています。今週は典型的な「水星逆行」週で、もうすぐ始まる予定のプロジェクトの内容がほとんど伝わってこない/こちらからメールしても返信がない/オンラインスーパーで買い物したらクレジットカードが通らない/銀行に連絡すると本当はそうじゃ無いのに限度額を超えていると言われる/重要なメールがスパムフォルダに入っていて気が付かなかった、、、などコミュニケーション・通信関係のトラブルが相次ぎました。幸い、6月3日に逆行は終わるそうです。
ただでさえ銃乱射事件で気分が落ち込んでいるところに、訃報が入りました。去年の秋に友人のCちゃんの訃報を聞いた時はポッドキャストも休むくらい落ち込みましたが、今回の友人も、日系カナダ人のコミュニティでも広く名を知られている大学教授で、とても尊敬している友人でした。パンデミックということもあり本人には数年会っていませんでしたが、先週お知らせした、日系カナダ人コミュニティに一億ドルを州政府から勝ち取ったプロジェクトでも彼女の名前が出ていたので、相変わらず活躍していて忙しいんだろうな、と思っていた矢先の訃報で、よけいショックを受けました。大学の方もしばらく前からメディカルリーブを取っていたのだそうです。夫さんも、高校生の息子さんも知っているので、後に残されたご家族の苦しみを想像するだけでも涙がでてきます。
年を取ることはまさにサバイブ(生き残る)することで、年を取れば取るほど愛する人々の死を経験することが増えるというのは、頭ではわかっていても、なかなか折り合いをつけるのが難しいですね。先週のニュースレターの有料部分でも子供を残して逝った知り合いのことを書きましたが、道半ばで逝く人の話には、ほんとうに悲しくなります。
銃乱射事件でかなり滅入っていたので、今週のポッドキャストは再放送(Ep. 132 日本人は議論が苦手?意見の違いを個人攻撃ととってしまうのは何故か)を流しています。冒頭の部分だけ新しく録ったものを入れていますが、今週嬉しかったことの一つは、ポッドキャストのリスナーさんがスタンダップコメディアンの長嶋由美さんのエピソードを聴いて、彼女の来日公演を福岡から渋谷まで観に行くことにしたというコメントでした。さっそく由美さんに伝えたらとても喜んでいました。東京近辺の方、ぜひ彼女の来日公演を今週末観に行ってみてください。
今週のブッククラブでは、Insecure/Secure という感情について学んでいた際、「この道ウン十年!」など、ひとつのことをずっとやり続けることを美徳とする文化では、さまざまなことに興味があることに対してInsecureに感じていた、というメンバーのコメントから、私もかつてそう思っていたことを思い出しました。他のメンバーからも「エリザベス・ギルバートがそのことについて話してる動画があったよね」という話になり、私も過去に書いた「人生でやるべきことがみつからない人へ」というブログを久しぶりに読み返しました。私も、いろんなことに興味のある「ハチドリ」タイプで、ポッドキャスト、水彩、翻訳、ライティング、留学エージェント、、、、とさまざまな肩書きがあることに以前は引け目を感じていたのですが、この動画にとても励まされました。最近ではマルチハイフネイテッド(Multihyphnated-ハイフンを複数使う人)という言葉も英語圏ではよく見かけるようになりましたし、最近は自信を持ってwriter-interpreter-cultural consultant-watercolor artistなど言えるようになりました。
今週はコーチングセッションも久しぶりに再開し、一対一でクライアントさんと話をするのってなんて楽しいんだ、と思い出すことができてよかったです。
SNSは避けていましたが、唯一楽しいのがTikTokとマストドンです。TikTokでは赤ちゃんや動物の癒し系の動画そしてジョニー・デップの裁判に関するものばかり見ています。そしてマストドンでは万年筆コミュニティが結構大きいことにびっくりしつつ、いろんな人からおすすめ万年筆を教えてもらい、また新しい万年筆とインクを買いたくなってきています。まさに沼です。
今週読んだ本
相変わらずFive Little Indiansを読んでいます。最近は公園など外で読むことが増えました。
今週聴いたポッドキャスト
今週も色々聴きました。特に印象に残ったのが:
The Daily: What Really Caused the Baby Formula Shortage
アメリカでは粉ミルクの工場がシャットダウンしたため、一気に粉ミルクが在庫不足になりました。このエピソードではなぜ工場を閉めなければいけなかったのかなどの詳細がレポートされています。
Endless Thread: “He died in the Goddamn waiting room”
Redditの話題のスレを紹介するこのポッドキャストでは看護師さんが集まるスレッドを紹介。パンデミックによるスタッフ不足のため待合室で亡くなった患者さんの話や、人手不足を解消するための「派遣看護師」さんたちが膨大な金額を稼いでいる話など、「働き手市場」の凄さに考えさせられました。
そしてもうひとつ、これは一般のポッドキャストではないのですが、佐久間由美子さんのSakumag (有料コミュニティ)でがん治療中のアーティスト下條ユリさんのお話を音声版にまとめたものを聴き、ヴァルネラビリティや一生かけて自分になることなど、私がふだん考えていることと同じことを考えている人がここにいる、ととてもインスパイアされました。
今週観たTV・映画
今週は、HBO Maxで配信されている実話をもとにしたドラマ”The Staircase”を見始めました。作家のマイケル・ピーターソンが「妻が階段の下で倒れている」と911通報し、その後妻は死亡。マイケルはプールで2人で飲んでいた際、妻が先にベッドに向かったあと自分が家の中に入った時に妻が倒れているのを発見したと主張しますが、マイケルは若い男性と浮気をしていたことが発覚したり、前妻も階段から落ちて死亡しているという謎の偶然もあり、容疑者になります。これはNetflixにて「ザ・ステアケース~階段で何が起きたのか~」というタイトルのドキュメンタリーが観れますので興味のある方はぜひ。ただ私が観ているのは、この事件のドラマ化で、マイケル・ピーターソンをコリン・ファースが演じています。わざわざドラマ化する必要があったのか?については最後まで見ないとわかりませんが、True Crimeファンとしては逆らえず観てしまっています。
大好きな「ベター・コール・サウル」の最後のシーズンの前半が終わり、7月から始まる後半が楽しみ。
そして!みんなが待っていた「ストレンジャー・シングズ」のシーズン4がNetflixで始まり、周りの人たちは今みんなこれを観ています。久しぶりに見てみて、やっぱこのドラマはライティングが良いから面白い、と実感しつつ、このシーズンはマジでホラー映画か!っていうくらいの怖さなので、ティーン以下のお子さんにはおすすめしません。でも面白い。このドラマは80年代の設定なので、大人が見て懐かしがることができるのも人気の理由です。1985年のケイト・ブッシュの曲が、このドラマで流れたせいでチャートの1位になったというニュースもありました。
暗いニュースと訃報に落ち込んだ週でしたが、みなさんもメンタルヘルスにじゅうぶん気をつけて、しっかりセルフケアしてくださいね。それではまた来週。
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5/31/22 つらい週・逆行・マルチハイフネイテッド
この道ン10年は呪いのようにずっと私にもつきまとっていました。映画や小説で、「あなたはこの人の秘書を勤めてどれぐらい?」「彼がビジネスをスタートさせてからだから、、、20年ね」みたいなセリフすらトリガーになってしんどかったこともありました。私はそこまで継続できたことが何もない、と思っていました。でもよく考えたら仕事(収入)にはならないけれど自分の糧となっているものはそれこそン10年続けている。書くことや読書、セラビーがそうで(英語も含めてもいいかもしれない)、それって実は達成だよと、考えられるようになりました。たとえば私のボスはこの道50年の人でそれは本当に素晴らしいことだと心底思うけれど、ひとはひと、私は私。私から書くことや読書や英語を取ったら何も残らない、それぐらい自分自身を懸けて好きなんだから、それでいいじゃないと思っています。今後の人生で変わるかもしれないし、新しい何かが増えるかもしれないし、それでいい。ゆかりさんのブッククラブには似たような人たちが集まるなと思っていてそれがとても心強いです。