先週に引き続き気温が上がり、今週はBC州ではHeat Waveが到来し、州からも警告が出ました。とはいっても28-30℃なので日本に比べたらまだまだ涼しい方です。去年は38℃まで上がってクーラーのない家で溶けるかと思いましたが、まだそこまで暑くはなっていません。それでもようやくポータブルクーラー、というか、英語ではSwamp Coolerと呼ばれるものが届きほっとしました。要するに氷水と扇風機を組み合わせたもので、ただの扇風機よりは涼しい風が吹いてきます。先日オフィスでテストしてみたら、いつもは西日が窓に直接さし午後3時以降は暑くて座っていられないオフィスでも、23℃くらいで快適に仕事ができてびっくり。これは重宝しそうです。
今週ずっと考えていたことは、Don't look away from people in painという言葉です。ブレネーの本を何冊も読んでいると、人というものはとにかく居心地悪くなるとなんとかしてその場を逃れようとするという性があるということに気が付きます。自分自身の居心地悪さはもちろん、他人のヴァルネラビリティ、傷、怒り、悲しみその他の感情を目撃した時にしっかり受け止めることができないから、どうしていいかわからず、とにかくできるだけ早くその場を去ろうとします。なので子供が泣いたり、何かに不平を言って来た時や、友達が辛い体験を共有してきた時、「気のせいでしょ」とか「そんなことで悩んでどうするの」と矮小化したり、ひどい時には「私にそんな話されても困る」と怒る人だっています。これは、ブレネーの本ではEmpathy missと呼ばれています。ブレネーは、彼女の母から、”Don't look away from people in pain” 人が傷ついている時そこから目をそらないように、見てみぬふりをしないようにと教わったと書いています。自分に関係ないから、自分が居心地悪いから、気づかないふりをしたり矮小化したりせずに、目をそらさずしっかりと受け止めることが本当のエンパシーです。
数週間前、TikTokを見ていたら、複数のTikTokerが「MamaTotの息子さんが亡くなった」というニュースをシェアしていました。MamaTotというのはアメリカ南部アクセントが強い、包容力のあるフレンドリーな女性クリエイターのニックネームでした。私は彼女をフォローしていなかったので全く知らなかったのですが、どうやら彼女の18歳の息子さんが19歳の誕生日の前日に何者かに射殺されたとのこと。普段は明るく楽しいコンテンツを配信しているインフルエンサーの彼女のもとに起きた悲劇に、TikTokが一丸になってサポートしている愛を感じました。私もそれ以来MamaTotをフォローしています。少しは元気が出て来たものの、もちろんそんなにすぐに傷が癒えるわけもなく、しょっちゅう彼女のフォロワーたちが「Mamatot、ご飯食べてる?今日何か食べた?」とコメントしていることに愛を感じました。そして彼女自身も「今日はいつもよりつらい」など泣きながら配信している時もありました。こう言う時に、全く知らないSNS上の人の悲劇を自分と関係ないものとして見るか、それともエンパシーを持って接することができるかで、自分のヴァルネラビリティに対する耐性もわかるのではないかと思いました。
もう一つ似たようなケースでは、いつもこのニュースレターで紹介しているグレノン・ドイルのポッドキャストで、コメディアンのチェルシー・ハンドラーが出ている回を聴いた時です。チェルシー・ハンドラーははかなり有名なコメディアンです。そして彼女が最近まで同じくコメディアンのジョー・コイと付き合っていることはエンタメニュースで時々見ては知っていましたが、破局したそうで、グレノンのポッドキャストで初めて公に破局について語っていました。これも、単なるセレブのゴシップとして片付けてしまうのは簡単ですが、チェルシーのインタビューを聞いていて、全く関係のない赤の他人の私でも胸が痛くなりました。要約すると、「ジョーと私は今でも愛し合っているし友達だけど、お互いのために一緒にいるわけにはいかないという結論に達した」「別に浮気のようなことが起こったわけではない。ただ、私にとっては自分を一番に愛さなければいけないので、人として成長するためには別れるしかなかった」とかそういった内容で、結婚して10年でリレーションシップネタから久しく離れてしまっている私でも「わかる!わかるよ!つらいけど仕方ないんだよねそういう時!」と思わずハグしてあげたくなりました。
そしてまた今週は私の身近な人で、私にとって本当に大切なとあるカップルも、お互い愛し合っているけどこれ以上一緒にいるのはお互いの成長のために良くないという結論で別れることになったと聞いて、私には何もできない無力感、そして2人のためには2人が一緒でない方が良いというつらい結論に、私も一緒に涙しました。
こういう時に「別れるとか意味不明。お互い好きなんだったら頑張ってなんとかしなよ」などと言うのはほんとうのエンパシーではないと思います。私にできることは「つらいね」と言いながら話を聞いて、一緒に涙を流すことだけでした。
そして、大好きなDr. Seussのこの言葉を贈りました。
今週はフランシスコローマ教皇がカナダを訪問していて、カソリック教会がかつて運営していた先住民寄宿学校でのさまざまな虐待に対して正式に謝罪しました。4つの先住民部族のリーダーからヘッドドレスを贈呈されたことに対しては、どうなの?と言う意見も多かったようです。もちろん、謝罪したからといってこれまでの罪が帳消しになるわけではありません。
今週のポッドキャストは私の古い友人でヘルスコーチのレアードかなさんと、摂食障害、エモーショナルイーティング、そしてボディイメージについて話しています。かなさん自身の摂食障害のストーリーは私も今回初めて聴きました。たくさんの方に聴いてほしいエピソードです。
引き続きはみライではSummer of Friends & Funと称してたくさんの人とお話しています。はみライの長いリスナーの方なら、一時期私がポッドキャストをこのまま続けるべきか悩んだことを覚えている方もいるかもしれません。「リスナーさんのためになるエピソードを配信しなければ」と思っていると、ゲストさんを予約するのにも緊張したり色々考えたりしてしまっていた気がしますが、お話したい人と話せば良いんだ、と思うようになって、だいぶ気が楽になりました。
先週書きそびれましたが、日本時間8月21日(カナダ時間8月20日)に開催するヴァルネラビリティ・アノニマスは、このニュースレターの有料購読者の方、そしてPatreonでのパトロンのみなさんは無料で参加できます。参加申し込みはこちらから。
また、はみライではみなさんの恥ずかしい話を募集しています。恥ずかしい話をシェアすることで、「私も」と共感する人が増え、ここでもエンパシーが増えます。たくさん集まったらポッドキャストでシェアしたいと思っていますのでぜひメッセージを送ってください。匿名希望の方はその旨明記ください。
そして二つのブッククラブ(日本時間土曜日10時からThe Gifts of Imperfection、日本時間日曜日朝10時からはI Thought It Was Just Me)は引き続き申し込みを受け付けています。今週、ヨーロッパに住んでいるある方とお話して、今やっているブッククラブはヨーロッパ時間でな夜中なので参加しにくい、と言うお話を聞き、ヨーロッパ在住の方でブッククラブに参加したい方からのメッセージを募集することにしました。ブッククラブに参加する場合ご自身に一番都合の良い時間帯を教えてください。興味のある人が一定数集まったら、別途開催することも検討中です。これは日本時間では早朝(朝4時とか5時)になると思いますが、もしその時間帯で参加したいという人がいればもちろん日本の方からのメッセージもお待ちしています。
今週読んだ本
引き続き「心臓を貫かれて」と「早稲田文学」を読みつつ、次のブッククラブで読む ”I Thought It Was Just Me”を読んでいます。そして、今週は、以前読んだもののまた読み返したくなった村上春樹の「騎士団長殺し」を探してます、とツイートしたところ、ドイツ在住のはみライリスナーの弥生さんが一時帰国中でなんとブックオフで4冊セットを見つけてくださり即刻カナダまで送ってくださいました。はみライのリスナーさんはみんな優しくて、涙がでます。弥生さん、ありがとうございました。
今週聴いたポッドキャスト
上に書いたようにグレノン・ドイルのWe Can Do Hard Thingsや、Fresh Air、NYTのThe Dailyなどいつものプレイリストに入っているポッドキャストを聴いていました。
特に面白かったのは今ハマって観ているBetter Call Saulの主演俳優Bob OdenkirkがゲストででていたFresh Airのエピソードです。
今週観たTV・映画
先週、Good Luck to You, Leo Grandeに個人的に五つ星をあげましたが、今週もとても良い映画を見ました。
Cha Cha Real Smooth
Cha Cha Real Smoothってなに?と私も疑問だったのですが、懐かしいこの曲の歌詞でした。
大学を出ても特に進路が決まらず、実家に住んでいる22歳の若者アンドリューの夏の物語、と言ってしまうとありがちなストーリーに聞こえてしまうのですが、実際にはニュアンスありまくりの映画でした。制作、脚本、監督、主演を務めるアンドリュー役のクーパー・レイフは、これ以前には1作しか映画を撮っておらず、この人どこから来たの、という感じでしが、この映画をみるとすげー!となるし、将来が楽しみな若い才能です。英語にMenschという言葉があって、英日辞書をみると「立派な人」くらいしか訳が載っていません。ウェブスターの英英辞書ではa person of integrity and honorとなっています。この映画を観て、主人公のアンドリューがめちゃくちゃ良いやつで、Menschという言葉が浮かびました。実際には、仕事も決まらず、親と一緒に住んでいるので「立派な人」という感じではないのですが、年の離れた弟にファーストキスについてコーチングしたり、義理の父に反抗しながらも母親思いの様子を見せたり、弟の同級生で自閉症の女の子がいじめられていると助けたりと、とにかく、めっちゃ良いやつ、です。両親役がLeslie MannとBrad Garretというのも意外に良い。また自閉症の女の子は実際に自閉症の女優さんが演じているし、ティーンの弟役もフレッシュで良い!アンドリューが惹かれる女性がダコタ・ジョンソンで彼女は”50 Shades”シリーズに出てた綺麗な人です。観ていて切なく、くぅ〜っとなる、とっても素敵な映画でした。★★★★1/2
Everything Everywhere All At Once
映画館でしか公開されていなかったので配信されるのをずーっと待っていた作品を葉やく観ることができました。
ミシェル・ヨーは「クレイジー・リッチ」で冷たい義理ママ役をやった中華系マレーシア人の女優さんですが、実は「グリーン・デスティニー」(これも邦題が原題と全然違う例)にも出演していた人で中国武術もバッチリできる人です。
観た人から「絶対観なきゃダメ!」とおすすめされまくっていた作品をようやく観れて満足。感想は、、、期待を裏切らない面白いさでした。マーベル映画で最近だいぶ認知度が高まってきた「マルチバース」に関する映画で、ユニバースには自分の無数のバージョンが存在している世界のお話。会話に英語と中国語が混じるところとか、アメリカのとある街でコインランドリーを経営する中国系ファミリーのリアルさもよく描かれていました。
娘役はステファニー・スーで、彼女もとても良かった。この役はもとはWikipediaによるとオークワフィーナがやる予定だったそうで、そのバージョンも観てみたいなと思いました。夫役は「インディ・ジョーンズ」「グーニーズ」に子役として出演していたキー・ホイ・クワンが演じています。彼は「優しいけど頼りない夫」役なんですが、ところどころでめっちゃ演技上手くない?と思うシーンがありました。脇役もジェイミー・リー・カーティスが怖い歳入庁のオバチャンを怪演していてとにかく面白かったです。
タイトルからも分かるようにとにかくいろんなことがいろんなマルチバースで起こるので1回観るだけじゃ気が済まない。うちの夫は、観終わってすぐに再度再生していました。
今週末はまたまたロングウィークエンド、しかも何のミーティングもブッククラブもないフリーな週末なのでもっと映画を観たいなと思っています。
それではまた次回!
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