先週末、今週末と珍しく外出が続きました。
先週末はビクトリア映画祭にて「マイスモールランド」を観てきました。カナダではMomo Filmsさんが配給に力を入れていらしてカナダ各地の映画祭で上映されているのを羨ましく思っていましたが、ようやくビクトリアで見ることができました。
想像を超えて素敵な映画でした。日本に住むクルド人一家のお話ですが、出演しているのがみんな本当の家族で、主演の嵐莉菜さんはじめお父さんも妹、弟さんもすごく自然でよかったです。特に弟君の演技には泣かされました。美しくて可愛くてそしてちゃぶ台ひっくり返したくなるような憤りを感じる映画でした。レンタルもできるようになっているのでぜひ観てみてください。
その翌日の日曜日には理事を務めているビクトリア日系文化協会と多文化共生のための非営利団体ICA(Inter-Cultural Association)が主催したBystander Intervention Training(第三者介入)のワークショップに行ってきました。自分の目の前で誰かが不当な扱いを受けている時にどうやって介入するかを学ぶワークショップです。5時間という結構長いものでしたが、久しぶりにIn-personでのワークショップで、参加者は20名ほど。声を上げるのは怖いけど、少なくともここにいる人たちは声を出そうと思っているんだなと思うとなんだか勇気がでました。
特にBystander Intervationのテクニックとして勉強になったのは5つのD:
Direct-不当な扱いを受けている人に声をかける。この場合のDirectは、安全であれば加害者に声をかけても良いと思います。(「それはどう言う意味ですか?」)安全でない場合は、被害者に声をかけましょう。(「大丈夫ですか?」)
Distract -加害者の気を逸らす。ディナーの席などの場合、話題を変えるなど。
Document -記録する。最近はスマホの普及でみんな録画できるようになりました。もちろん記録するのが安全な場合とそうでない場合もありますので気をつけなければいけません。直接声をかけるのが安全でない場合、録画・録音するという手もあります。
Delegate -自分が介入するのが怖い場合、安全でない場合は誰かに任せることもできます。警察などの場合もありますが、その場にいる別の人に助けを求めることもできます。(「あれ見ましたか?彼女を助けましょう」など)
Delay -これはマイクロアグレッションなどが起こったあとで「さっきのあの発言は人種差別ですよ」と加害者に後で伝えたりすることです。
このワークショップの最初に、ファシリテーターの方が言っていたことがとても印象に残りました。「今日のワークショップでは色々と居心地の悪い気持ちになるかもしれません。でもそれは悪いことではありません。Just because you feel uncomfortable doesn’t mean it’s unsafe. 居心地が悪いからといって、それは安全でないという意味ではないと。確かにそうだなと思いました。ブレネー・ブラウンブッククラブでも、Leaning into discomfort、居心地の悪さからすぐに抜け出そうとせずに、少し留まってみることの大切さを学んだので、同じことを言っていると思いました。居心地が悪い時、それはそこに何か学ぶべきことがあるのだと私は思います。
そして今週末の土曜日には同じくビクトリア映画祭で、「クモとサルの家族」を観て、ビクトリアまできてくださった長澤佳也監督の通訳を務めました。この感想は今週のポッドキャストにて話していますので良かったら聴いてみてください。やりたいことをやるという監督の姿勢に感動しました。なんとこの作品、日本ではまだ公開されていないそうで、一足先に観ることができて嬉しかったです。監督からはサインまでもらってしまいました。日本公開は3月18日です。
と言う感じでいろんなことがあった10日間ですが、良いことばかりではなく、失敗をしてクライアントに怒られたり、またソーシャルメディアのクライアントから契約打ち切りの知らせも入り、本来なら落ち込むできなのでしょうが、これはきっと次に何か新しいチャンスがやってくるからそのためにスペース(私の今年の3ワードのひとつ)を作っているんだ、と思えるようになりました。
今週のブッククラブでは人がヴァルネラビリティを避けようとして使う「盾」について。Forboding Joy -嬉しいことが起こった時に喜びをしっかり感じないで「きっと悪いことが起こるはず」と思ってしまうこと、完璧主義、そして麻痺について読み、ディスカッションが盛り上がりました。
あっという間にブッククラブも折り返し地点。次のブッククラブは4月の最初の週末から始まります。読む本はRising Strongです。
毎日誰かに手紙を書くInCoWriMo月間、なんとか続いています。やっぱり人とのつながりを感じられるのが良いです。
イーロン・マスクがTwitterを仕切るようになって、もうめちゃくちゃなことになっていますね。APIを有料化すると言っていましたが2回目の延期がされたようです。TwitterのAPIに関しては、イーロン・マスクがオーナーになって以来のTwitterの混乱のおかげで、トルコ・シリアでの地震のレスキューを遅らせているというTIMEの記事もありました。私は、最近はポッドキャストのリンクを貼るくらいしかTwitterには顔を出しませんが、フォローしていない人のバズっている投稿ばかり流れてくるし、バスる投稿というのは感情を良くも悪くも揺さぶるものばかりなので、メンタルヘルス的に本当に悪影響しかないなと感じています。
幸い、マストドンにだいぶ人が増えてきたのでTwitterはほとんど見なくなりました。でもマストドンでもサーバーによっては問題があったりしてサーバーの引っ越しをする人も増えているようです。(私がいるのはMstdn.caという比較的平和な小さなサーバーなので特に問題なし)この数週間で知った新しいSNSはNostrとSpoutible。Nostrはマストドンのサーバーって何?という感じの人にはさらに難しいのではないかと思います。私も、プロトコルって何?というレベルです。一応アカウントは作ってありますが、投稿している人のほとんどがNostrの使い方について呟いていて、普通の癒される、もしくはためになる投稿を期待している一般人の私にはあまり面白く感じません。もう一つのSpoutibleは、かなりTwitterに仕様も似ていて、マストドンでできないいわゆる「引用RT」(Spoutibleでは投稿のことをSpout、そのままシェアする場合はEcho、自分のコメントをつけてシェアする場合はQuote Spoutと言うみたいです)ができるのでこっちの方が良いという人もいるかもしれませんが、Twitterにありがちな匿名での誹謗中傷を防ぐため、登録には電話番号が必要で、日本からだと二段階認証ができなくて登録できないという話も聞きました。そのため、現在はほぼ100%英語での投稿しか見ません。また、これは何故なんだろうと疑問ですが、プロフィールに”Dem”とか#Voteblue とか書いているかなり左寄りの人ばかり見かけます。私もリベラル左派なのですが、政治的に同じ考えの人ばかり集まっているのはどうなの?と思ってしまいます。
ちなみにマストドンで引用シェアができないのは仕様で、マウンティングやネガティブなコメントをつけて引用シェアして炎上させる、などといったTwitterでの嫌な経験を減らすためわざとできないようにしてあります。マストドンはどちらかというと研究者やジャーナリスト、科学者、平等について関心のある人が集まっている印象で、画像をアップする際も視覚障害のある人のためにキャプションをつけて投稿するのがかなり当たり前になって来ています。私も、キャプションが付いていない画像はシェアしないと決めています。
SNSによってできることとできないことがあるので、自分にとって何が大切なのかをきちんと知って居場所を選ぶことが大事だなと感じます。
今週読んだ本
女の数だけ武器がある たたかえ!ブス魂
今週は、Sakumag Studyで知ったペヤンヌマキさんの本。AVの監督の経験など面白く読みました。
今週聴いたポッドキャスト
Economics of Everyday Things
いつも聴いているFreakonomics Radioから新番組が出たとのことで聴いてみたEconomics of Everything Things。Freakonomicsほどホストの喋りは上手くないけど、タイトル通り、とっつきやすい経済の話題が多くて面白いです。特に面白かったのはヒット曲My Sharonaがどうやってできたか、そしてそのクリエイターがどのくらいお金をもらったかという話。One hit wonderの話は前回のニュースレターでもDon't Worry, Be Happyについて紹介したSwitched on Popのエピソードを紹介しましたが、1発でも当てるとそこそこお金は入ってくるみたいです。
今週観たTV・映画
シコふんじゃった。
前回のニュースレターで書きそびれました。Disney+で、90年代に流行った映画「シコふんじゃった。」のリメイクドラマ版が配信されています。あまり期待していなかったのですが、ほのぼの楽しめました。先日の「舞妓さんちのまかないさん」と同じように、日本の伝統的文化である相撲がテーマです。「舞妓さん」のほうは「これで舞妓さんの世界がこんなに明るく健康的と思われたらヤバいな」と思ったのですが、舞妓さん文化には闇もたくさんあると理解した上であくまでフィクションとして楽しみましょうと書きました。相撲のほうも、男尊女卑の文化ですし、相撲の部屋のシステムは闇だらけだと思いますが、こちらは少なくとも女子の相撲参加もテーマにしていて、まだ少しだけ希望があるのかなと感じました。
The Last of Us
これも前々回のエピソードで紹介して、ゾンビ系はダメと書いたものの、あまりにも周りの反応がすごいのでもういちどトライしてみました。そして、見事にハマりました。私にとって去年のベストドラマである「チェルノブイリ」と同じ製作者だから、そりゃあうまいはずだよね。謎の寄生菌コルディセプス(辞書を引くと冬虫夏草と出ます)に侵されたアポカリプス後のアメリカで、20年前に娘を亡くしたジョエルが、行方が分からなくなった弟を探すため必要な車のバッテリーと引き換えに、とある14歳の女の子エリーをCargoとして連れて旅をすることになるという話です。これって、スターウォーズ版「子連れ狼」と言われているマンダロリアンにプロットが似ていて、結局違うユニバースで起こっている同じ話じゃん?と思いました。でもさすが製作陣がすごい人たち、そして予算もたっぷり使っているので素晴らしい作品に仕上がっていて、ゲームをやったことがなくても楽しめます(私もゲームはプレイしたことないです)あまりにもハマりすぎて、HBOの公式ポッドキャストまで聴き始めました。
最近のTVドラマは、配信だけじゃなく、ポッドキャストもセットにして制作するのがかなり当たり前になって来ていて、ざっと思い出せるだけでも私がドラマにハマって聴いた公式ポッドキャストは「ザ・クラウン」、「ステーション・イレブン」「チェルノブイリ」そしてこの「ザ・ラスト・オブ・アス」です。
ゲームのドラマなんて興味ない、ゾンビとか嫌だという方でもとりあえず見て欲しい。時間が勿体無いと言う方は第3話だけでも見て欲しいです。ちょこっとネタバレすると第3話はゲイカップルの愛の話で、泣けます。これ多分エミー賞かなんか受賞すると思います。語りたい方大歓迎。
YOU
このニュースレターでも多分過去に紹介したことのあるドラマYOUのシーズン4がNetflixで始まりました。ストーカー的行動を繰り返す主人公ジョー、普通だったら絶対キャンセルされていると思うのですが、この番組はかなりトンデモな展開が多く、「こいつストーカーだよね」「なんでこんなに簡単に人死ぬねん」とツッコミながら観れる貴重な番組です。シーズン4は、私は今まだエピソード3あたりですが、暗い過去から逃げるためにジョーがやって来たロンドンで、とあるキャラクターを誰が殺したのか?という推理ドラマぽくなっていて面白いです。
それではまた来週!