日本は梅雨にはいったようですね。北米には梅雨がないのがありがたいですが、今日はビクトリアも雨が降っています。
水星の逆行が終わり、今週はなんとか物事が動き出した感があります。
相変わらずTwitterとSNSには長居しないようにしているので、ニュースに疎くなってきましたが、今週目にした話題は、漫画家の西原理恵子さんの娘さんが、西原さんの「毒親」ぶりを告発というものでした。娘さんは、自分のことを描くのははやめて欲しいと頼んだそうですが聞き入れてもらえなかったなど、読んでいて胸が痛くなる内容でした。
最近は、以前に比べたら子供のプライバシーを考慮するようになったと思います。それでもまだ子育てブログやSNSアカウントはたくさんありますし、YouTubeやTikTokでは家族の様子をリアリティ番組なみに切り売りして生計を立てているコンテンツクリエイターも大勢います。
このニュースを読んで最初に頭に浮かんだのが、私がTikTokでフォローしている双子の母親Maiaknightのアカウントです。1歳の双子のスカウトとバイオレットのシングルマザーであるマヤのアカウントは850万人のフォロワーがいて、SNSで入ってくる収入のおかげで家で子供たちと一緒に過ごせるのだとマヤはいつも言っていますが、人気のあまり双子たちのファンアカウントができたり、アンチも増えたりしていて、インフルエンサーカルチャーって本当に恐ろしいと思ってしまいました。私も彼女のアカウントのファンで、子供たちはほんとうに可愛くて癒されるので、たまにスポンサーの広告などやっていても気になりませんが、子供たちの様子をストーカーのように追ったり、私生活の詳細まで知ろうとは思いません。TikTokなどのSNSでバズってインフルエンサーになって、稼げる時に稼いでおこうと思うのは人の性だと思いますし、私もきっと同じように考えると思います。でもやはりそんなライフスタイルはサステナブルではないなあと思ってしまいました。
もうひとつ、この数週間気になっていることがあります。最近万年筆にハマっていることは以前書きましたが、そのなかで見つけ、最近インスタのアカウントをフォローしたNoodler's Inkという万年筆とインクのブランドがあります。2004年創立のアメリカ産で手ごろな値段のインクの会社です。Heart of Darknessなど、インクの色の名前もユニークで、インクボトルのラベルもそれぞれ凝ったイラストが描かれていてとても面白いブランドです。しかしこのブランドのインスタをフォローするまで全く知らなかったことですが、Kiowa PecanやApache Sunset, Navajo Turquoiseなど、アメリカの先住民族の名前を色の名前に使っていたらしく、それらのインク名を変えるという投稿がありました。
直接関係がないのに商品に先住民の部族の名前を使っていたのは文化の盗用になるから改名する、というロジックは理解できます。しかし、投稿を見てもらえればわかるように、「これも変える必要があったのか」という色名もあります。例えば、Rome Burning。ローマが燃えているような色という意味だと思うのですが、これはローマの住人からの苦情を恐れてのことでしょうか。Censor Redという色はBrevity Redに改名。また、Anti-Fascist Blueという色も改名されています。これはまさかファシズム主義者に気を遣っての改名ではないでしょう。この投稿には「キャンセルカルチャーのおかげでつまらなくなった」「ユニークな色名が好きで買っていたのに残念」などというコメントが並んでいます。私は、差別主義者や、誰かを搾取している人物、暴力を振るった人物などに声をあげて変化を起こすことは大切だと考えていますが、いわゆる「キャンセルカルチャー」を恐れて、無難な道を行くというのも何か違うという気がします。特にこのブランドはどちらかというと反体制の姿勢をブランディングに使っていたため、余計残念です。
「キャンセルカルチャー」は今どちらかというとネガティブに取られてしまうフレーズですが、すべてのキャンセルカルチャーが悪いわけではないし、毎回必ず白黒つくわけでもなく、それぞれのケースにニュアンスとコンテクストが求められます。
ニュアンスとコンテクストといえば先日メディアを賑わしたジョニー・デップの裁判もそうです。男性側で、あきらかに地位も高いデップが裁判に勝ったことで「ほら、だから女性が声を上げても結局負けるんだ」と言う意見や、逆に「女性側がDVの加害者になることもある」という意見がでていますが、どちらも正しく、同時にどちらも少し乱暴という気がしました。
今週のポッドキャストでは、ブレネー・ブラウンの本によく出てくる「アリーナに出る」とはどういうことか、について話しています。そして、ヴァルネラビリティを受け止めること、勇気を出して声をあげること、自分をがっかりさせないで他人をがっかりさせること、感情をしっかり感じること、すべて日々練習なんだという話をしています。ブッククラブでもシェアしましたが、私が毎日使っているエクササイズのアプリにでてくるヨガの先生が言った、”This is yoga practice, not yoga perfect”という言葉に私も毎日勇気付けられています。This is life practice, not life perfect.
15分くらいでサクッと聴けるので良かったら聴いて見てください。
最近なかなかポッドキャストにゲストさんを呼ぶ余裕がないのですが、ただいま準備中ですのでそれまではソロ回でご了承ください。
今やっている二つのブッククラブも、もうすぐ終わります。この後次の本で続けるか、それとも夏はお休みして9月から再開するか、みなさんのご意見を募集しています。
今週読んだ本
引き続き、Five Little Indiansを読んでいます。
今週聴いたポッドキャスト
This is Love: Frank Goes to the Spelling Bee
フィービー・ジャッジという人は、このニュースレターでも以前紹介したCriminalというポッドキャストで有名ですが、もうひとつ、This is Loveというポッドキャストもやっています。このエピソードでは、今やスポーツの一つになったスペリング・ビーについて。スペリング・ビーに参加する子供たちにインタビューしていて聴いていてほっこりするエピソードでした。
We Can Do Hard Things: Jenny Lawson is Broken (in the Best Possible Way)
ほぼ毎週このニュースレターで紹介しているこのポッドキャストではライターのJenny Lawsonがゲストとして出ている回がまた良かったです。鬱や不安症を抱えながらも「ほんとうの自分・Weirdな自分」を前面にだして人気のあるJennyの話に勇気づけられました。彼女はテキサス州サンアントニオでNowhere Bookshopという書店もやっているので、いつか必ず訪れたい場所です。
Fresh Air: David Sedaris Returns
Fresh Airでは、David Sedarisのインタビューが印象的でした。私は彼のエッセイのファンで、ビクトリアに講演に来た際サインしてもらったことが良い思い出になっています。彼も、前述の西原さん同様、家族をネタにしてさまざまな面白い話を本に書き大成功したライターですが、彼の本の中では「辛辣な父」としてユーモアを交えて描かれていた父親が実は本当にDavidに対しては意地悪な人間だったということを、彼の死をきっかけに書いたという新刊の話をしていました。ネタとしては面白く書いていたけど、本当は本人はかなりしんどかったようで、この本はぜひ読みたいなと思いました。
My Unsung Hero: Alie Ward’s Story
これも前に紹介したことがあるかと思いますが、NPRのHidden Brainの姉妹ポッドキャスト的番組。つらいときに助けてくれた人の思い出について語るこのポッドキャストでは、再放送として、私がいつも聴いている科学ポッドキャストOlogiesのAlie Wardの話が配信されています。2013年、父親ががんと宣告され、ショックで何も手に付かなかったAlieに、知り合いの知り合いが博物館のツアーに誘ってくれたおかげでものすごく気が晴れ、その後科学好きなAlieはOlogiesというポッドキャストを始めることになる、、、というとてもいい話です。このエピソードの最後は「Alieの父親の病気は完治して今は元気にしています」という終わり方をしますが、実は今、Alieの父親はがんが再発し、ドクターから「もう治療はやめるべきだ」という宣告をされ、ホスピスに移られたことをAlieの番組から知っているので、よけい胸に響きました。Alieは最近は仕事を減らし、ポッドキャストも再放送を増やしたりして、父親とできるだけ時間を過ごそうとしています。全く知らない人なのに、Ologiesのエピソードを聴くたびに、お父さんがんばれ、と思ってしまいます。
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これも私が大好きなポッドキャストですが、5月半に、初期からずっとホストを務めてきたAlex Goldmanと2年ほどAlexとホストをやっていたEmmanual Dzotsi両方が番組を去ることが発表されました。インターネットに関する話題を扱うポッドキャストとして常にチャートのトップにいるポッドキャストですが、2021年にBon Apppetit紙でのパワハラスキャンダルを扱ったエピソードの取材中に、番組初期からAlexとホストを務めていたPJ Vogtもパワハラをしていたことが判明し番組を降板、その後多様性のあるさまざまなスタッフを新しく雇ったようですが全体的に昔の勢いが無い感じでしたので、今回Alexが降板することで、ひとつの時代が終わった、という気がします。番組自体は新しいスタッフで続くようです。
今週観たTV・映画
今週は先週に引き続き、ずっと家族でStranger Thingsを見ていました。シーズン4は前半と後半に分かれているので、前半は全部観てしまい、7月から始まる後半を楽しみにしています。それにしてもホラー映画なみに怖かった。
そして、夫とはDisney +でやっているObi-Wan Kenobiのドラマを観ています。私は仕事でディズニー番組のセンティメント解析をするので、このドラマに関しては「派手なアクションもないし地味」という意見があるのを知っていましたが、わかりやすいシンプルなストーリー展開で、私は結構好きです。特に、レイア姫の子供時代を演じている子役の女の子が、故キャリー・フィッシャーに似ていて、本当にうまいキャスティングだなと思いました。
そして、昨晩あまり深く考えずに夫が選んだNetflixのHustleという映画。
アダム・サンドラーの資産は4.8億ドルらしく、Netflixとも何本も映画を作る契約をしているそうです。今回もまたアダム・サンドラーといえばお約束の頭をからっぽにして見れるコメディかと思っていたら、この映画はプロバスケットボールのスカウト(サンドラー)がスペインで才能ある選手を発掘し、NBAに入れようとするという「バスケットボール版スタア誕生」みたいな映画でした。そしてこれが良かった。私はバスケは好きだけどNBAは全く見ないので選手の顔と名前は全くわかりませんでしたが、ファンならおそらく狂喜するほどたくさんの選手が本人として、もしくはカメオで登場していました。アダム・サンドラーくらいお金持ちになったら、自分の好きなバスケ選手集めて、みんなで映画つくろうぜ、ってできるんだねえと妙に感心してしまいました。ストーリーも、「スタア誕生」と「ロッキー」を混ぜたような予測できる展開でしたがそれでもすごく良かったです。サンドラーのシリアスな映画というと数年前のUncut Gems(邦題アンカット・ダイアモンド)が思い浮かびますが、Hustleの方がよっぽどストレス少なく観れました。そしてなんと言ってもバスケの選手を知らなくてもプレーの様子がふんだんに盛り込まれていて見ていて本当に面白かったです。おすすめ。
というわけで今週はここまでです。
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それではまた来週!